正常解剖から異常像の読影まで,90のステップにより胸部CT診断を系統的に学習するためのテキストである.各ステップごとに,まず症例をみて質問に答え,実際の思考課程に沿った解説により診断に必要な実践的知識を身につけることができるようまとめられている.肺の50ステップ,縦隔,大血管の40ステップの二分冊とした.好評を博した「腹部CT診断100ステップ」とともに,入門者だけでなく専門医にとっても必読の書である.序 1990年に「腹部CT診断100ステップ」を刊行した.読者から,胸部に関しても同じような教科書はないのかというお便りをいただいた.このような便りは,たとえ間違いを指摘していただいたものであれ,励ましの内容であれ,嬉しいものであり,また大変役に立つありがたいものである.中外医学社からも,執筆の打診があった.しかし,当時の私は腹部の画像診断やMRIを専門としており,とてもこのような本を出版するとは思ってもいなかった. 1995年4月に山梨医科大学に転任し,都合により胸部のCT診断を担当することになった.これを機会に,過去の胸部CTにおける興味ある症例を掘り起こし,追跡調査した.また,日常の業務においても教育的な症例を積極的に探すことにした.このようにして,少しずつ症例を集め,肺50ステップ,縦隔·大血管40ステップ,あわせて90ステップが整った.従って,ここに掲載された写真はほとんど全てが山梨医科大学ならびにその関連病院の症例であり,山梨医科大学第2内科,第2外科の呼吸器,循環器グループ,ならびに放射線科の諸先生には何かと助言をいただいた.また,東京女子医科大学放射線科の酒井文和先生,都立清瀬小児病院放射線科の原 裕子先生にも貴重なフィルムをお貸しいただくとともに助言をいただいた.この場を借りてお礼申し上げる次第である. この本は,まず症例を見て質問に答えることから始まる.もちろんこの段階ですらすらと答えられる人はこの本を買う必要はない.答えられなくてもよい.ただし,必ず質問に答える試みをしてほしい.それによって,その症例は必ず大脳に記憶として残るはずだからである.また,診断が当たらなかったからと言って気にすることはない.大切なことは,次にどのようなステップを踏むべきかということであり,実際の症例に接したときに,本書の各ステップで得た知識をいかに生かせるかということだからである.都合により「1.肺」,「2.縦隔·大血管」の2巻に分冊することになった.双方を参照しながら読み進めてほしい. 1998年3月 沈丁花の香る日に 著 者
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