シラスとは南九州にある火山灰で、シラス台地という言葉を学校で習ったことがあると思います。今から2万5千年前に、現在の鹿児島、錦江湾の北部にあった姶良カルデラで巨大な火山噴火が起こりました。そのときに東京ドームの36万倍という膨大な量の火山灰を噴出したのです。その火山灰の多くは鹿児島や宮崎に積もり、10数メートルから150メートルというシラス台地をつくりました。地元ではシラス台地といえば、稲作に不向きで、開墾するにも多大な労力を要し、さらに台風や大雨のときに崖崩れを起す土砂災害の原因として有史以来長らく負の遺産と見られてきました。しかし、最近このシラスを使った住宅の壁材がひそかに注目を集めているのです。自然素材から生まれた土壁はシックハウスで引き起こされたアレルギーや喘息を鎮め、しかも室内の湿度を調節したり、タバコなどのいやな臭いをとりのぞくエコロジカルな建材として見直されています。本書はエコ住宅の建材としてシラスを無尽蔵の資源に変えた人々の物語です。負の遺産を宝物に変えた知恵と工夫の物語は、これからの住まい作りにはもちろん、地球環境を考えるうえで欠かせない一冊です。またシラスの歴史を振り返ると、シラス台地が明治維新を担った薩摩藩と深い関わりがあったこと、現在の焼酎ブームがシラス抜きで語ることはできないことなど、新しい発見も本書の魅力です。ぜひご一読ください。編集 執筆担当 松岡伸吾(松栄株式会社)
シラス物語―二十一世紀の民家をつくる EPUB, PDF, TXT, AZW3, MOBI, FB2, DjVu, Kindle电子书免费下载。